<別紙3>
表3 機関車の破損箇所及び補修整備の方法

番号 破損箇所 部 分 状 態 補修整備の方法 記 事
1 ボイラ覆い下部 写真6−1 腐食、穴明き 新規製作+溶接取付 腐食部分は切断。図面を元にし、適宜分割した寸法にて薄鋼板(SPCC t1.6)で新製し、溶接取付。
2 シリンダ覆い
(両側面とも)
写真6−2 腐食、穴明き 新規製作+ボルト取付 図面を元に薄鋼板(SPHC t3.2)で新製する。一部部品は現在のものを流用。取付は現物に合わせる。
3 砂箱 写真6−3 腐食、穴明き 穴埋め 穴周囲の腐食部分を広げ、穴と同じ寸法の薄鋼板(SPCC t1.6)を溶接しハンマー、サンダーで整形する。
4 運転室屋根 写真6−4 腐食、穴明き 穴埋め
5 運転室窓ワク

(両側面とも)
写真6−5 劣化、紛失 新規製作+取付 窓ワク(木製)+ガラス。大きめに作り現物合わせで 取り付ける。
6 炭水車前床 写真6−6 腐食、落失 新規製作+溶接取付 図面を元に薄鋼板(SPHC t3.2)で新製する。取付は現物に合わせる。
7 炭水車床(底面) 写真6−7 腐食 サビ落とし グラインダ等でサビを落とす。
8 炭水車側面

(右側面上部)
写真6−8 腐食、穴明き 穴埋め

裏側に薄鋼板を溶接して穴をふさぎ、表側からパテを盛って整形。

9 前照灯ガラス

(炭水車)
写真6−9 割れ 調達+交換 調達して取付。
10 車体全体 写真6−10 塗装劣化 剥離+再塗装 サンダー・紙やすり等で、劣化している現在の塗膜を剥離する。下塗り塗料1回、上塗り塗料(ツヤあり黒色)2回塗装。
11 各部(鉄製部分、塗 装されない箇所) 写真6−11 塗装劣化 剥離+再塗装 サンダー・紙やすり等で、現在の塗膜を剥がして磨き出し、サビ防止のためにクリアー塗料を塗装。
12 各部(銅製、砲金製 部品類) 写真6−12 磨き出し 紙やすりなどで塗膜を剥がし磨き出す。その後クリアー塗料を塗装。
13 運転室内 写真6− 塗装劣化 剥離+再塗装

サンダー・紙やすり等で、劣化している現在の塗膜を剥離。下塗り塗料(屋根裏の木部除く。)1回、上塗り塗料(ツヤあり灰緑色)2回を塗装。

14 運転室機器類、他 写真6− 紛失、固渋 調達、給油 紛失・破損した部品は調達して補充。主要な機器類(ハンドル、焚口)を動かせるよう整備・給油。
<注記>
・機関車が文化遺産であるという認識に立ち、整備に当たっては保存状態を考慮しつつも可能な限り現役当時の姿を忠実に再現することを目標とする。そのために現役当時の状態、さらに現在運行されている蒸気機関車の状態を調査する。
・新規製作する部品は、原図を手配するか新たに製図するなどし、市内の鉄工所に製作・取付を発注する。なお、穴をふさぐ程度の部品は、現物合わせで製作する。
・紛失・破損した部品のうち新規製作すると経費のかかるものは、愛好者などへ所蔵品の提供依頼を行うとともに、鉄道ファン向けの鉄道部品販売店などを通して調達・購入する。
・塗装に必要な塗料

   @下地処理:パテ所要量
   A下塗り用:ジンクリッチプライマー(赤サビ色) 16kg入り×2缶
   B上塗り用:速乾性フタル酸エナメル塗料 (経費上許されれば、耐久性に優れる一液形ポリウレタン系樹脂塗料を使用)
      ※フタル酸エナメルの場合  全体       :ツヤあり黒色   (16kg入り市価約9,000円)×4缶
                         運転室内部  :ツヤあり灰緑色  (4kg入り(市価約3,000円)×2缶
                         表記類等    :ツヤあり白色   (4kg入り(市価約3,000円)×1缶
                         未塗装部分  :クリアー       (4kg入り(市価約3,000円)×2缶


<機関車修理個所の写真>


写真6−1 ボイラ覆い下部


写真6−2 シリンダ覆い (腐食、穴明き)


写真6−3 砂箱 (腐食、穴明き)


写真6−4 運転室屋根 (腐食、穴明き)


写真6−5 運転室窓ワク (劣化、紛失)


写真6−6 炭水車前床 (腐食、落失)


写真6−7 炭水車床(底面) (腐食)


写真6−8 炭水車側面(右側面上部) (腐食、穴明き)


写真6−9 電灯ガラス (割れ)


写真6−10 車体全体 (塗装劣化)


写真6−11 各部(鉄製部分、塗装されていない箇所) (剥離+再塗装)


写真6−12 各部(銅製、砲金製部品類) (磨き出し)


写真6−13 運転室内 (剥離+再塗装)


写真6−14 運転室機器類、他(調達、給油)


写真7 現役時代、雪原を走る69644号機関車 昭和50年